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ようこそいらっしゃいました。 ここは”のこ”による、「魔術士オーフェンはぐれ旅」の感想、妄想、二次創作ブログです。 公式とは一切関係がありません。
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オーフェンさんとマジクさんの会話。
いつも通り色気と糖度はゼロでお送りしています。

つづきからどうぞ
あ、それとすぐ下の記事に拍手返信しております〜。




『一線』


一線を越えたのはキムラックだった----------------------------。

そう切り出した元師匠にぼくは正直に返す。



「ぼくは、…正直覚えていません」


いえ、トトカンタでの戦いの中っていうのはもちろん覚えてますよ。
そう付け加えてから思わず笑いがこぼれた、自嘲気味の。


最初に殺したのは誰だったのか。


男だったのか、女だったのか、幾つくらいの人間だったのか、何を思い戦いに臨んだのか。
何一つわからない。


校長がーーー溜息をついたのだろうか、微かに動く気配がした。
そこそこの月明かりはあるが、逆光で顔はよく見えない。
彼は淡々と続けた。


「越えるまではその一線を必死で見極めて、越えないようにつとめて来た。
だが、一度越えてしまえばその線はたちまち消えて、どこにあるかわからなくなった」
「ぼくには、…そんな線は見えませんでした。」




見えないから容易く越えて、たぶん越えてから初めてそれを見た。
ちょど彼とは逆になる。


「お師様に言われてた事が、その時になってようやくわかりました。
……ぼくは、不肖の弟子ですね」
「まったくだ」
「はは」


月が徐々に高くなって行く。
あまり、時間をかけてゆっくり話す事でもない。


「でも、不肖の弟子の弟子は不肖じゃありませでしたよ」
「あ?」
「隔世遺伝でした」
「役に立ったか」
「それどころか」


助けられた。
弟子ーーーー校長の娘、ラッツベインに。


「叱られました」
「ほぉ」
「そんなんだからかっこ悪いんだって」


ああ、確かにかっこ悪い。
今も昔もぼくは周りが見えず。
自分の歳の半分を少し越えただけの少女にーーーいや、もう少女という歳でもなくなっていたーーー女性に諭された。


彼女には『一線』などないのだろう。
いや、彼女は最初から必要としていない、そんな『一線』など。
それを必死で避けるのでもなく、見えないのでもなく。


そうならないために全力で生きるのだ。
『一線』など蹴飛ばして、そうして何もかもを生かすのだ。
彼女には『一線』の向こう側など必要ない。


何かを屈服させるためではなく、滅ぼすためでももちろんない。
生きるために、生かすために使う「力」それが彼女にとっての魔術なのだろう。


そうして村の大半は生き延びた。


「もしも、ぼくが1人で行っていたらーーーーーー」


地図から村が一つ消えていた。
あの場に生きて残るのはぼくだけだったろう。


生かされたのは村人たちだけじゃない。
ぼくの中の「何か」も生かされた。


そんな気がした。


「やっぱり貴方の娘ですね」
「……いやー……どっちかっつーと、あいつだろ」


誰かと言えばーーーーーーーー当然1人しかいない。
ああ、と合点がいって校長を見やれば、彼はにやりと笑った。


「クリーオウとぼくを旅に連れて行ったのはそういうつもりだったんですか?」


歯止めとして。


「いや、単に金がなかったしな」
「ぼくの場合はそうでしょうけど、クリーオウは」
「……どうだかな」


校長が地面を軽く蹴飛ばした。


「後付けにしたら理由なんざいくらでも沸いて出て来ちまうだろ」
「そういうもんですかね」


返す反応に困って曖昧に相槌を打つ。


「そーだよ。例えばお前にあいつを付けてる理由とか、な」
「………何か、あったんですか?」
「別に意図なんかなかったさ…、性格的に向いてるなと思っただけだ
学校で競争しながら伸びるタイプでもない。…あいつ良くも悪くもマイペースだかんな」


「はあ」
「それにお前、女に振り回されるの好きだろ」
「それはないです」


やはりどう反応していいのかわからず、気のない返事を返せば、
校長は月を見上げていた。


微妙に遠い目で。


「ただな、旅に道連れってのは付きもんでな。一人で軽快に歩いてる奴なんか見ると、な」
「なんです?」
「…ほら、重し付けたりとか、足ひっぱりたくなるんだよ………」


「それでですか!?」


『なるんだよ………』と情感たっぷりに言われても困る。
実際の所は何か言おうとしたようにも思えたけれども、おそらくやめたのだろう。


「まあ、……感謝はしていますよ」
「おお、しろしろ」
「給料上げてくれればさらに感謝できますが」
「無理しなくていいぞ」


まあ、それはそれとして。


重しどころか、ぼくをどつきながら、不思議にも引っ張り上げるのは幼少の頃からラッツベインで


それは今でも決して変わらない。
何を見聞きしても、何を経験しても、変わらずに『そこ』にいる。
やんちゃではあるが、基本的にはおっとりとマイペースを貫く少女。
そんな常とは裏腹に母親に似て(色々な意味で)爆弾さながらの破壊力を持ち、
父親に似て必要ならばあっさりと決断する彼女。


何も持たないぼくが原大陸で唯一手に入れたのは、そんな弟子だった。


校長がぼくに彼女を付けた実際の意図はどうにせよ、そのことに今は感謝するしかない。
そもそも校長の意図なんて、大して読めやしないのだ。


「ラッツベインをありがとうございます」


『ぼくに預けてくれて』という言葉を付け加えるのを忘れたが、まあいいだろう。
とにかくそう素直に礼を述べたら、何故だかおそろしい形相で睨み返された。
疑問を視線に乗せて返したら、やたらと不機嫌な表情でそっぽを向かれた。


「?」


やはり、ぼくには彼の意図はどうにも読めない。






マジクさんに全く他意はございません(笑)。
師匠と弟子の何ともいえない、あの関係性がツボです。

ラッツベインの成長とともに、一歩離れたところから見てる人たちからの印象が変わってるとなおヨシ。
しかし身近な人たちからは全く変化してるように見えないとさらにヨシ(えー)。
本人達も特に変わってないと思ってるとさらにさらにヨシ。

なんでしょう、一つのものを見てるのに、見る方向によって見え方が全然違う、そんな2人だと思います^^。

とりあえず、原作次巻でもいちゃいちゃしていて欲しいです。
あのハンパない信頼感には果てしなく萌えたので。燃えたし。

っていうか先が怖い、楽しみ、でもホントに怖い。
…リアルタイムの楽しみを心底から満喫しております。





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プロフィール
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のこ
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非公開
自己紹介:
年季の入ったガノタ。ありとあらゆるガ/ン/ダ/ム/にハマるバンナムに搾取され続ける人種。ファルコムオタ。
「オーフェン」はリアルタイムで追っていたのにBOXのせいで今更ながらに心を射抜かれ、見事に師弟とブラディ・バース関連に心奪われた!
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